電話番号 03-3549-5011
無料トライアル・お問い合わせ

コラム 2022.06.29

債権譲渡の通知もSMSで行える時代に!

債権譲渡の通知もSMSで行える時代に!

〜「SMSを利用した債権譲渡通知に関する実証」が認定されました〜

債権の譲渡は、「債務者への通知又は債務者の承諾が確定日付のある証書によってされなければ債務者以外の第三者に対抗することができない」とされています。
しかし、2021年8月に「改正産業競争力強化法」が施行されたことにより、新事業活動計画の認定を受けた事業者が提供する情報システムを経由して債権譲渡の通知等がなされた場合には、この通知を「確定日付のある証書による通知等」とみなす特例が創設されました。
先日、情報システムとしてSMSを使った実証実験が認定され、これによりSMSによる債権譲渡通知などのサービスが可能となりました。

この記事では、SMSによって債権譲渡通知が可能になった背景や、SMSでの通知の方法について等をご紹介します。

債権譲渡とは?

まずは、今回の通知の対象となる債権譲渡について触れます。
債権の譲渡とは、契約をかわすことによって、自身の取引相手(債務者)が第三者に対して持っている債権を譲ってもらい、その取引相手の代わりにお金を回収する権利を得るという制度のことを言います。
債権譲渡は原則として自由に行うことができます(民法第466条第1項本文)。

債権譲渡のメリット

債権譲渡は、債権譲渡の時点で第三者が債権者に対して対価(現金)が支払われるので、弁済期よりも早く債権を現金化できます。また、譲受人からの債権譲渡代金の支払いによって事実上債権回収が完了しますので、債務者の倒産リスクから解放される、などのメリットがあります。

契約の成立

債権譲渡が行われた場合、それ以降は債務者は債権の譲受人に対して債務を負うことになるわけですが、債務者からは、債権の譲渡人・譲受人の契約の合意が本当に成立しているのかどうかは、そのままでは判別がつきません。

そこで、債務者その他の第三者に債権譲渡を当事者間で効力の生じた法律関係を他の人に対して主張する(対抗する)ためには、以下のいずれかの方法により、対抗要件をしっかりと揃えておく必要があります(民法第467条第1項)。

  1. 譲渡人が債務者に対して債権譲渡の事実を通知する
  2. 債務者が債権譲渡を承諾する

事実の通知について

なお、債務者以外の第三者に対して債権譲渡を対抗するためには、上記の通知・承諾を確定日付のある証書によって行うことが必要です。
これは、公的に債権者であることを主張するために必要な措置であり、二重に債権譲渡が行われた場合に備えて実施します。また、もしも債権者が複数存在する場合には、債務者は誰に返済するべきなのかわからなくなってしまいます。
そこで、債務者を保護するためにも、誰が正式な債権者かを明確にする必要がありますので、第三者に権利を主張することができる要件の取得(第三者への対抗要件の取得)が必要ということになっているのです。

一般的には内容証明郵便を利用する

第三者への対抗要件を取得するためには、「確定日付」を取得しなければなりません。「確定日付」とは、公的に債権譲渡が行われたことを表明するための日付です。もしも、債権者が複数存在する場合であれば、この確定日付を先に取得した債権者が正式な債権者として債権を公的に主張することができます。

一般的には、債務者へ債権譲渡通知をする際には、内容証明郵便が用いられます。それは、内容証明郵便における局印が確定日付になるためです。

なお、譲受人は早く対抗要件を取得するためにすぐにでも債務者への通知を済ませたいはずですが、原則、通知書は譲渡人が郵送するという決まりになっています。債権が譲受されたからといって、譲受人には債務者へ通知する権限はありません。債権者自身が、まず債務者に対し債権譲渡通知の手続きを行う必要があります。

「債権譲渡の通知等に関する特例」の背景

近年、電子的な方法による取引はますます盛んになっており、債権譲渡に係る手続きも含めて、電子的なやりとりのみで迅速に手続きを完結させることに対するニーズが高まっています。前述の通り、一般的には郵送で行われる債権譲渡の通知についても、素早く簡潔に済ませたいというニーズがありました。

そこで、2021年8月に施行された「改正産業競争力強化法」において、新事業活動計画の認定を受けた事業者によって提供される情報システムを経由して債権譲渡の通知等が実施された場合であれば、この通知等を確定日付のある証書による通知等とみなす特例が創設されました。

改正された「産業競争力強化法」の第9条第1項の規定に基づいて株式会社リンクスから申請された「新事業活動計画」の認定申請について、 同条第4項に適合すると認められ、令和4年4月27日付けで認定されました。(開始時期は令和4年5月)

※法務省報道発表資料より
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00302.html

今回、認定された株式会社リンクスが「債権譲渡の通知等に関する特例措置」の適用を受ける第1号案件となりましたが、同社が申請の対象とした情報システムがSMS(ショートメッセージサービス)でした。これにより、SMSで債権譲渡の通知も行えるようになりました。

経済産業省による「SMSを利用した債権譲渡通知に関する実証」資料では、

本実証を機に、社会生活上の重要な通知手段を書面からSMSへと代替させ、社会全体の一層のペーパーレス化・デジタル化(これによる費用削減、業務効率化・迅速化、利便性向上等、様々な社会的 メリットが期待される)を推進する。

引用:https://www.meti.go.jp/press/2020/06/20200626011/20200626011-1.pdf

と記載されており、SMSによる通知がより一般的になっていくであろうことが記載されています。

SMSで通知される債権譲渡通知の概要

ここからは、今回認定されたSMSによる債権譲渡通知について、債権譲渡人が債権譲受人に対して債権譲渡を行ったあとの実際の流れをご紹介していきます。

SMSによる債権譲渡通知の流れ

①債権譲渡通知のアップロード

債権譲渡人は、PDF文書管理サーバーに、債権譲渡通知をPDFでアップロードします。ここでアップロードすることによってユニークなURLが生成されます。

②SMSを債務者に送信

債権譲渡人は、①で発行されたURLを記載したSMSを債務者に対して送信します。この際、リンク先の債権譲渡通知を閲覧しようとするためには、当該URLのリンク先にアクセスした際に表示される 画面の指示に従って、本人認証のための情報を入力しなければ、当該通知を閲覧することができないようになっています。

②債務者がSMSを受信

債務者が、スマートフォンや携帯電話でSMSを受信します。このときに、通信キャリアに通知がされた日時であるSMSの送信日時が正確に記録され、提供される管理画面で確認することができるようになっています。

②債務者がSMSのURLにアクセス

債務者がショートURLのリンク先にアクセスすると、インフォメーション画面が表示され、インフォメーション画面から遷移すると、債務者のスマートフォンや携帯電話等に債権譲渡通知のPDFが強制的にダウンロードされます。
なお、債務者は通知がされた日から5年間はいつでもインターネット上にアップロードされた債権譲渡通知を閲覧することができるようになっています。

※経済産業省発表
「産業競争力強化法に基づく新事業活動計画を認定しました」の別紙より

まとめ

今回、新事業活動計画の認定を受けた情報システムがSMSだったわけですが、確実に債務者に届く必要がある通知をSMSで行われることが認められたことで、SMSが「しっかり相手先に届く」ことが確認されたと言えます。
世の中のペーパーレス推進や、デジタル化推進の流れをうけて、ますますSMSの需要が高まっていくでしょう。